着生 Epiphytes
ティランジアを始めとする多くのブロメリアドたちは、元来その根で樹木や岩等に 着生している植物です。元々、通風性が生命線であったこのプランツ達は大地 ではなく樹上や切り立った岩場のような風通しの良いところに好んで着生しています。 (勿論、誰かが樹の上に着けた訳ではないので、そんな風通しの良い所へ飛んで 行った’種’から発芽したものだけが成株にまで成長したという事でしょう。) 春を過ぎると状態の良い株達が一斉に発根し始めます。そんな株達を我が家では 流木等に着生させる事にしています。このプランツ達の本来の姿に近づけてやる ことが、栽培上でも調子をよくする事に繋がるからです。
多くの種は株元の成長点から下に向かって発根してきます。 T.hintoniana ( Mexico ) 中には株の中程より発根してくるものもいます。カウレッセントなタイプで途中でも わが身を支えようという意思の表れでしょうか。(他にT.araujei 、 T.funckiana 等 ) T.heteromorpha ( Peru ) 多くの種は樹、岩に着生しているそうです。樹も大木の幹であったり枝であったり また、カクタスであったりします。街場などでは電柱や電線にも着生しているそうです。 カクタス・スケルトンはティランジア着生にはもってこいの素材です。その見た目の 素材感もよく、また表面の荒れが丁度、根がくい着き易いようです。 T.tenuifolia 'Gray Leaf' ( Brazil )
木の枝で作られたアレンジです。樹皮が剥けていないので、着生には適しています。 T.recurvifolia ( Brazil ) T.exserta ( Mexico )
今年からチャレンジしている樹への着生で、これは観葉植物のパキラです。 これがもっとも自然に近い環境でしょう。相手も生きてる訳ですから。 02年の発根シーズンには、もっとチャレンジしてみようと思っています。 T.ionantha ( Guatemala ) & Pachira ( Mexico )
コルク樹皮はティランジアに限らず着生植物には最もポピュラーなものです。 我が家では本格的には01年からの導入の為、上手く着生しているものは 1つしかありません。(今後しばらくは、これで行こうと思っています。) T.zecheri ( Argentina ) (NTHのT沢会長宅に伺った時も、ほとんどの銀葉種はコルク樹皮着けでした。) 観葉植物によく使われるのがこのヘゴでしょうか。ティランジアではあまり使い ませんが表面が荒れており、着生はし易いのではないかと思います。 (実生の台座としては、よく使われているようですが・・・。) T.ionantha ( Guatemala ) まだ試した事のないものがあります。それは岩(石)です。02シーズンは樹と共に 岩(石)にもチャレンジしようと思っています。(軽石あたりが良いのでしょうか?) サキシコラ(岩着生)なものをチョイスしておかねば。 我が家でもっとも多いのがこの流木への着生です。ほどよく表面が荒れており 根も着き易いです。このイオナンタは今年最も上手く着生してくれた株です。 根は途中からどんどん分岐して流木に食い着いていきます。 T.ionantha ( Guatemala )
このカップトゥ・メドゥーサエは着生3年ものです。上から1年目、2年目、3年目です。 株も倍くらいに大きくなりました。まだ咲かないでほしいのですが、そろそろです。 T.caput-medusae ( Mexico 〜 )
今までご覧いただいた着生株も、実はそんなに簡単に着生してくれた訳ではありま せん。発根してきたら、根をいためないようにして株全体を流木等に固定します。 我が家では細い針金を使っています。また、根そのものは非常にデリケートです。 ストッキングを切って作った紐でそっと流木等に抑えてあげます。(柔かく、通気性が ある。)この状態で1ヶ月はそっとしてあげるのがコツでしょうか。 T.ionantha ( Guatemala )
暖かくなっても発根しない種(株)もあります。どうしたら着生させられるのでしょうか? 基本は株の安定だと考えています。ティランジアは何かに着いて安定したいという 意思を持っています。ですから、流木などに固定しておくと、すぐにではなくてもいずれ 発根してきます。このミトラエンシスは固定して1年くらいしてから発根してきました。 T.mitlaensis ( Mexico ) 余談ですが、巷に株をボンドやロウで流木等に着けたものが流通しているのをご覧に なった事があるかと思います。賛否両論あろうかと思います。私個人的には好みでは ありませんが、決して間違ってはいないと考えています。異物が着いたその部分は かわいそうですが、一番大切な事は株そのものが何かに固定され安定しているという ことです。ボンド等で固定され、その後元気に発根し着生している株も沢山あります。 要は、発根するまでの安定材(支え)なのです。(勿論、成長点をふさいでしまったら 意味がありませんが。)何も支えがない状態より余程、調子は良くなると思います。 01冬に、流木着生イオナンタ達が一斉に開花しました。驚いた事に2週間に渡って 咲き続けました。これは株としての充実度の高さに比例しているのだと考えています。 やはり、ティランジア達は何かにきちんと安定して着いている事が大切なようです。 T.ionantha ( Guatemala ) |